2021.3.31
公営墓地・民営墓地・寺院墓地の違いとは?
お墓を探す際に、その種類の多さに驚く人も少なくありません。お墓自体の種類も、家族墓・個人墓・夫婦墓・永代供養墓というようにさまざまですが、墓地のタイプも公営墓地・民営墓地・寺院墓地と3つのタイプがあげられます。
このコラムでは、公営墓地・民営墓地・寺院墓地のそれぞれのタイプについて、違いや特徴などをまとめてご紹介していきます。
目次
霊園と墓地の違いはなに?
「霊園」と「墓地」どちらの言葉も同じように使われていますが、明確な違いはあるのでしょうか?実は正式な意味の違いはなく、どちらも「お墓が集まっている場所」のことを指しています。
しかし、一般的には受けるイメージには違いがあるようですので、混乱してしまう方もいるかもしれません。公営墓地・民営墓地・寺院墓地についてご紹介する前に、まずは、霊園と墓地とのイメージによる傾向の違いについて確認してみたいと思います。
「霊園」が持つイメージ
「霊園」と聞くと、寺院の敷地内にあるものではなく、広い公園のような場所にお墓が集まっている様子を想像する人も少なくないでしょう。
実際に、管理が行き届いたガーデン風の作りの霊園は、民間が運営するものに多く見られ、名称にも「霊園」「メモリアルパーク」「陵苑」などがよく使われています。そうしたことからも、一般的な霊園のイメージは「民間の霊園」となっているようです。
ただし、これはあくまで一般的なイメージであり、民間であっても名称に「墓地」が使われていることもありますので「民間=霊園」というわけではありません。
「墓地」が持つイメージ
お寺といえば、その敷地内や隣接地にお墓があるのが普通ですが、こうしたものは昔から「墓地」と呼ばれてきました。そのため「墓地」のイメージとしては「寺院墓地」というのが一般的となっています。
名称にも「墓地」を使っている場合が多く見られますが、なかには「霊園」「墓陵」「墓苑」という呼称を使っている場合もあります。
どちらのイメージにも共通するのは「公営」
名称に「霊園」と「墓地」の、どちらも同じ程度に使われているのが公営の霊園・墓地です。そのため、一般的にどちらのイメージもあわせもっているようです。
このように、「霊園」と「墓地」には明確な違いはなく、イメージの傾向としての違いでしかないため、名称で区別することはできません。以下、このコラムでは「墓地」に統一してすすめていきます。
それぞれの墓地を区別するものは?
公営墓地・民間墓地・寺院墓地を区別する際に、一番のポイントとなる違いについて見ておきたいと思います。それぞれ以下の点で明確な違いがあります。
・公営墓地:経営は自治体、管理運営は指定業者
・民間墓地:経営は宗教法人、管理運営は民間の会社
・寺院墓地:経営も管理運営も宗教法人
このように、それぞれ経営と管理運営において明確な違いがあり、はっきりと区別されています。
公営墓地・民間墓地・寺院墓地の特徴と違い
では、内容的な特徴や違いはどういったところなのでしょうか?実際にお墓を探す際には、その内容部分が一番大切なポイントとなるでしょう。それぞれのタイプの内容的な特徴や違いを詳しく見ていきたいと思います。
公営墓地のメリットとデメリット
公営墓地の最大のメリットは、末永く引き継いでいくことができる安心感です。行政が運営しているので、倒産する心配はほぼありません。
公営墓地のほとんどは、その地域に居住している方のみが申し込めるようになっていますので、家から比較的近いところにお墓を建てることになります。近所ですとお墓参りにも行きやすく、清掃などのこまめな管理も負担になりません。また、石材店を自由に選べますので、予算や好みに合うお墓を建てたいという方にもおすすめです。
一方、大きなデメリットとして挙げられるのは、利用の申し込みを生前に行えるところが非常に少ない点です。ほとんどの自治体が、申し込み時に遺骨があることや、期限内に埋葬することを条件にしています。
安価に利用できる分、バリアフリーでない、休憩スペースやトイレが整備されていないなど、設備面での充実度は低い傾向にあります。檀家さんなど限られた方だけが訪れる静かな場所でお墓参りをしたい、お墓の立地にこだわりたいという方は、公営墓地はあまり向かないでしょう。
民営墓地のメリットとデメリット
民営墓地のメリットとしては、住まいがある場所に関わらず、好みの地域、気に入った墓地・霊園にお墓を持つことができる自由度の高さが挙げられます。
墓地によっては、海外のメモリアルパークのような雰囲気だったり、公園のように遊具があったりするなど、独自のコンセプトや特色を持つところもあります。従来のお墓のイメージにとらわれない、おしゃれでスタイリッシュな感じのお墓を見つけたい方には特におすすめです。
デメリットとしては、立地や環境にこだわった結果アクセスが悪い。大規模な墓地で自分のお墓までなかなかたどり着かない。といったことが考えられます。家族と一緒に見学に行き、設備の使いやすさや、送迎バスの必要性などを考えてもらい、お墓参りをする方の意見を参考にするのも良いでしょう。
また、石材店は墓地提携の業者しか選べない場合が多いです。一社だけに見積もりを取ることになるので、妙に高額だったけれど購入するしかなかった、といったトラブルも聞かれます。
墓石のデザインやタイプなどの好みを叶えられるか、信用できる業者なのかという点もしっかりと確認しておきましょう。
寺院墓地のメリットとデメリット
寺院墓地の大きなメリットは、ご供養をしっかりとしてもらえるという点です。お寺の境内に墓地を持つことが多いので、毎日本堂で住職の方がお経をあげてくださいます。
また、お寺との距離が近いので、供養に関する疑問があっても、すぐに聞ける点も安心です。
初めて喪主になった方ですと、お墓や法要のこと、初盆の迎え方などを詳しく知らず困った、ということがあるかもしれません。その点、お寺は年忌などの時期も知らせてくれることが多いので、心強いサポートを受けられます。
伝統的な日本の墓地・墓石を希望する方、しきたりに則ってきちんと仏様のご供養をしたいという方におすすめです。
デメリットとして考えられることは、宗派が限られることと空きが少ないことです。基本的にはお寺の檀家になって利用しますので、場合によっては改宗しなければならないことがあります。また、古くから続くお寺は空きが出ることがほとんどないため、希望してもお墓を建てられないことも多いです。
檀家はお布施や寄附をすることがありますが、明確な金額を提示されることはほぼありません。公営・民営墓地に比べると、お墓を引き継いでいくために必要な金額の見通しがつきにくいことも、デメリットの一つです。
公営墓地・民営墓地・寺院墓地の違いについてのまとめ
公営墓地・民営墓地・寺院墓地、それぞれのタイプで違いや特徴などをまとめてみました。3つのタイプそれぞれの中でも違いがありますので、納得できるお墓を見つけるためには、実際に現地に足を運ぶことも必要となるでしょう。
お墓を準備することは、人生で一度きりの方が多いのではないでしょうか?このコラムを、お墓探しのヒントにしていただけたら幸いです。