2021.9.13
お墓に納骨しない「散骨」とは?新たな弔い方と違いについて解説
葬儀を終えた後は遺骨を自宅へ持ち帰り、しばらく家族と一緒の時間を過ごすのが従来の流れとなっています。
しかしいつまでも自宅で保管するわけではなく、一般的に「忌明け」と言われる四十九日の法要に合わせてお墓などに「納骨」を行うのが通例です。
一方、最近は納骨をせずに「散骨」を選択する人も増えており、実際に「自分の遺骨は散骨してほしい」と考えている人もいるでしょう。
そこで今回は、納骨と散骨の違いや、あまり知られていない散骨の方法などについて詳しく解説します。
目次
納骨とは
納骨とは、葬儀終了後に自宅で安置していた遺骨を、お墓や納骨堂に納めることをいいます。
特にいつまでに納骨しなければならない、という決まりはありませんが、多くの人が四十九日の法要と同時に納骨します。
一方で、納骨してしまうと物理的に離れてしまうため、「一緒にいたい」と納骨せず長期にわたり自宅で遺骨を保管している人もいます。
それでも、一区切りがつく三回忌までには、ほとんどの人が納骨を済ませているようです。
散骨とは
散骨は、遺骨をお墓に納める納骨とは異なり、故人にゆかりのある場所や生前故人が希望していた場所で遺骨を撒くことを指します。
現時点で散骨に関する法律などは存在せず、マナーを守ればどこに撒いてもいいとされていますが、人が集まる場所は避けた方が無難でしょう。
散骨には法律がないとお伝えしましたが、いくつか守るべきルールがあります。
散骨するために骨を細かく砕く「粉骨」という作業では、誰が見ても骨とは気付かないように2mm以下にする必要があり、また釘や銀歯などの金属類を一緒に撒くことも禁止されています。
特に遺骨が2mm以上で発見された場合、死体遺棄として罪を問われる可能性もあるので注意が必要です。
こうしたルールは明記されているわけではなく自己判断が難しいところなので、できれば散骨業者に依頼するといいでしょう。
どうしても家族で散骨したいという場合はそれも可能ですが、粉骨だけは専門業者に依頼するのがおすすめです。
散骨の方法
散骨は、骨を撒く場所によって名称が異なります。
ここでは今注目を集めている散骨方法について、1つずつ詳しく紹介します。
海洋散骨
海洋散骨とは、海に遺骨を撒くことです。
生前自然や海が好きだった、マリンスポーツをしていた、などという人に多く選ばれています。
海洋散骨は陸からではなく、船で沖合まで向かった海上で行われます。
故人が希望していた場合はその望みを叶え、大好きだった自然に還ることができるので、1番の弔い方法といえるでしょう。
業者に依頼した際の費用は5〜30万円と幅広く、散骨を完全に委託する場合や家族が出向いて行う場合で違いがあります。
複数の家族が乗り合って合同で散骨を行う場合は、船のチャーター費用が割安になる分、費用は抑えられます。
ただし、いくら大切な人の遺骨であっても周囲からすれば散骨が好まれないこともあるので、海水浴場や漁港などは絶対に避けましょう。
宇宙葬
少しずつ宇宙旅行が現実味を帯びてきた昨今、注目されているのが宇宙葬です。
1997年にアメリカで開始された自然葬の1つで、遺骨や遺灰を専用カプセルに詰めた上で、宇宙空間に打ち上げて散骨します。
これまでは海外の業者に依頼する形でしたが、最近では日本でも取り扱う業者が増えており、より身近なものになりました。
スタンダードなのがロケットによる打ち上げで、散骨する遺灰の量にもよりますが、費用は120万円〜となっています。
他にも人工衛星に乗せる「流れ星供養」や巨大な風船に入れて成層圏まで飛ばす「バルーン葬」などがあります。
いずれにしても、月や星を見上げたら大切な人を思い出す、というとてもロマンチックな弔い方法ですね。
樹木葬
散骨と似た方法に「樹木葬」という弔い方法があります。
どちらも自然に還る、という意味では同じですが、散骨が遺灰を撒くのに対し、樹木葬は木のふもとに遺骨や遺灰を埋めるのが特徴です。
樹木葬では、お墓を建てるのと同じように墓地や霊園内の1区画を購入し、墓石の代わりに樹木が故人の目印となります。
一般的なお墓のように広くはないので、自然が好きで、1〜2人で利用したいという人におすすめです。
樹木葬の費用相場は20〜80万円で、アクセスの良さや委託するお寺や霊園の永代使用料によって費用が大きく異なります。
オプションで名前を刻んだプレートなどを飾ることも可能です。
この他に、山での散骨する「山岳散骨」を希望する人も少なからずいますが、実は山への散骨は他と比べてハードルが高くなります。
というのも、山や林は原則として持ち主がいるからです。
個人の私有地であったり自治体の持ち物であったり、と持ち主は異なりますが、どちらにしても持ち主がいる場合は散骨の許可を取る必要があり、それも簡単ではありません。
山林散骨を取り扱う業者が極端に少ないのは、そういった理由からです。
納骨と散骨の違い
これまでにお伝えした通り、納骨と散骨には多くの違いがあります。
ここで、あらためて整理しておきましょう。
お墓の有無
お墓や納骨堂に遺骨を納めることを納骨と呼びますが、散骨する場合はお墓を建てないため納骨もありません。
お墓がない分費用を抑えることができ、故人の希望が叶えられる、お墓の管理が必要ない、などメリットがある反面、故人の目印となるものがないため、少し寂しく感じる人もいるかもしれません。
希望があれば遺骨の一部を手元に置いておくことも可能なので、一度業者に相談するのがいいでしょう。
法事・法要
お墓を建てた際は定期的にお墓参りを行い、一周忌や三回忌などの法要が行われますが、散骨の場合、基本的に法事や法要は行ないません。
場所や家族の意向にもよりますが、お墓参りのように、決まった時期に散骨した場所に出向いてお参りすることもないでしょう。
どちらも決して行ってはいけないというわけではなく、葬儀をお願いしたお寺などに相談して法事や法要を定期的に行なっているご家族もいます。
遺骨の形状
通常は火葬場でお骨拾いをしたままの形で納骨しますが、散骨の場合はパウダー状に粉骨する必要があります。
前述した通り、2mm以下にするのが必須条件なので、自分たちで散骨する場合も、可能な限り粉骨作業だけは専門業者に依頼しましょう。
服装
通例では葬儀から納骨、法要まで喪服を着用しますが、基本的に散骨の際の喪服はNGです。
かといって、あまりにカジュアルな服装では似つかわしくないため、肌の露出を控えたよそ行きの服装と考えておくといいでしょう。
特に海洋散骨の場合は、注意が必要です。
公共の船乗り場から乗船するため、周囲の人に不快な思いをさせないように配慮しましょう。
散骨の注意点
散骨を行う際は、まず周囲に十分配慮する必要があります。
人の多い場所は避け、静かな落ち着いた場所でひっそりと行いましょう。
また海洋散骨は、水に溶ける紙袋に入れて行うのがマナーです。
器や手から直接サラサラと遺灰を撒くイメージがあるかもしれませんが、風向きなどによって自分たちにかかってしまったり、船上に落ちて残ってしまう可能性があります。
そうなると周囲の人や船長さんに迷惑がかかるので、必ず水溶性の袋を用意しましょう。
また、どうしても会場ではなく陸地に散骨したいという場合は、必ず土地の所有者に許可を取らなければなりません。
「バレないだろう」と勝手に散骨すると、後で大きなトラブルになるので注意が必要です。
故人を弔う方法はさまざま
ご紹介した通り、故人を弔う方法は多様化しています。
これまでは先祖代々あるいは個人で建てたお墓に入るのが当たり前でしたが、好きだった場所に散骨したり、大空に旅立ったり、樹木とともに休んだり、と現時点でさまざまなスタイルがあります。
今後は、それ以外にもたくさんの様式が採用されるようになるでしょう。
しかし、弔い方が変わったからといってご家族の故人に対する気持ちが変わってしまうというわけではありません。
どんな形であってもご先祖さまや故人を偲び敬う気持ちがあれば、その想いは代々受け継がれていくはずです。
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いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、納骨や散骨の概要、違いなどについてご理解いただけたと思います。
従来のお墓のスタイルに加えて、散骨や樹木葬など弔う方法も多様化してきました。
それでも、やっぱり今あるお墓を守っていきたいと考えている方も多いでしょう。
一方で、高齢化や少子化が進みお墓参りが十分にできていないと気に病まれている方もいると思います。
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